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平成30年度施政方針
我が国の経済状況は、有効求人倍率の上昇傾向が続くとともに、企業の倒産件数も低下傾向で推移するなど、いざなぎ景気を超えて緩やかな回復基調が続いております。
こうした国内景気の状況のもと、国の平成30年度予算においては、着実な景気回復や所得環境の改善が続くとの見通しから税収増を見込むものの、高齢化を背景に医療・年金など社会保障関係経費が増大し、歳出が税収を上回る状況にあります。国と地方を合わせた債務残高は、GDPの2倍程度に膨んでおり、また、国債費が毎年度の一般会計歳出総額の2割以上を占めるなど我が国の財政は、依然として厳しい状況にあります。
政府は、平成30年度の予算編成の基本方針において、財政健全化への着実な取り組みを進める一方、「子育て安心プラン」を踏まえた保育の受け皿整備や「人づくり革命」の推進、「生産性革命」の実現に向けた企業による設備や人材への力強い投資など、重要な政策課題について必要な予算を講じるほか、東日本大震災や熊本地震など各地で発生した災害からの復興や防災対応の強化を着実に進めることとしております。
一方、地方財政におきましては、公共施設等の老朽化対策の対象事業の拡充や事業費の増額、まち・ひと・しごと創生事業費が引き続き1兆円確保され、地方財政への配慮が示されてはいるものの、地方交付税が6年連続で減額となるなど地方にとっては厳しい状況が続いております。
本市の財政状況におきましても、市税収入が伸びている状況にはあるものの、歳出において、社会保障関係経費の増加が著しく、依然として大変厳しい状況となっております。今後もこれまで以上に社会保障費の増加が見込まれる中で、市民サービスの維持・向上を図っていくためには、一層厳しい姿勢で歳入の確保と歳出の可能な範囲での抑制に取り組んでいかなくてはならないものと考えております。
こうした状況を踏まえながら、平成30年度の予算編成につきましても、限られた財源を効率的・効果的に活用できるよう、事務事業の見直しを行いながら政策的に事業の優先度を判断するとともに、選択と集中による予算編成を行ったところでございます。
それでは、ここで、第5次朝霞市総合計画で定める将来像「私が 暮らしつづけたいまち 朝霞」の実現に向けて設けました4つの基本概念、「安全・安心なまち」、「子育てがしやすいまち」、「つながりのある元気なまち」、「自然・環境に恵まれたまち」に沿って、平成30年度に重点的に取り組む主な施策を申し上げます。
1点目の「安全・安心なまち」を目指して取り組む施策としましては、防災対策として、首都直下型の地震発生を想定し、防災関係機関との連携を強化するほか、地域防災ネットワークの構築および共助の推進を図るために、総合防災訓練を実施します。また、今年度からスタートした、災害時に避難所にもなる小・中学校の屋内運動場の空調設備の整備を引き続き進めてまいります。さらに、豪雨・水害対策として、近年、頻発する集中豪雨により浸水被害が発生していることから、雨水管理総合計画を策定し、計画的に雨水貯留施設などの整備を進めてまいります。このほか、新たに内間木地域に雨量計を設置し、市内の降雨状況を迅速に把握し、道路冠水対策などの浸水被害対策に活用してまいります。
健康・福祉では、多様化する福祉に関する市民の皆様からのニーズにお応えしていくために行政組織の機構改革を行います。高齢者の困りごと相談をはじめ、生活困窮など福祉関係の相談に対して迅速に対応し、相談業務のワンストップ化を図るため、福祉部に福祉相談課を設置し、相談体制の充実を図るほか、情報提供や助言、援助を的確に行うため、自立支援相談員を1人増員し、相談しやすい環境を整備いたします。また、地域包括ケア体制を含めた地域福祉施策の連携を密にするため長寿はつらつ課を福祉部に移管します。
保健・医療体制におきましては、保健センターの耐震補強工事に着手します。また、埼玉県および志木市、和光市、新座市の近隣3市とともに、大学に寄附講座を設置し、国立病院機構埼玉病院に医師の派遣を受け、救命救急医療体制の充実を図ります。このほか、高齢者支援策として、特別養護老人ホーム朝光苑において利用者が快適に生活できるよう空調設備の入替工事を行います。
都市基盤では、空き家の増加やマンションの老朽化など住宅に関するさまざまな課題に対応するため、開発建築課に住宅政策係を設け、市民の皆様が安全に、そして安心して住み続けられるための住宅施策を行ってまいります。
道路交通におきましては、東上線に架かる岡跨線橋等の点検を実施するほか、橋梁長寿命化計画に基づき浜崎陸橋の改修工事を行い、適切な維持管理を図りながら必要な安全対策を行います。また、東武東上線朝霞駅ホームドアの設置を進め、駅の安全確保を図ってまいります。
公園施設の安全対策につきましては、公園施設長寿命化計画に基づき、青葉台公園などの都市公園の遊具等の更新工事を行い、公園施設の長寿命化を図ります。
教育では、施設の老朽化対策として、浜崎学校給食センターや総合体育館の施設改修工事を行うほか、博物館展示室のつり天井の改修工事を行い、利用者の皆様の安全対策に努めてまいります。
次に、2点目の「子育てがしやすいまち」を目指して取り組む施策としましては、健康・福祉では、健康づくり部をこども・健康部に改称するほか、福祉部からこども未来課と保育課を移管し、妊娠期から出産、子育て期へと切れ目のない支援を行い、保健業務との連携をより密にし、組織体制の充実を図ります。
子育て支援におきましては、本町2丁目地内で進めている児童館の建設工事に着手するほか、さらなる待機児童解消に向けた対策としまして、平成30年4月に認可保育園3園と小規模保育施設3か所が開園いたしますが、平成31年度の開園に向け、更なる施設の整備を進めてまいります。また、保育士の確保を図るため、市内の認可保育園および小規模保育施設に勤務する保育士を対象とする処遇改善のための補助金を新設するほか、公設民営保育園に勤務する保育士についても、その処遇改善を図るため、運営委託料の増額を行います。このほか、保護者が就労している3歳以上の児童の幼稚園への入園を拡大するため、幼稚園が長時間の預かり保育を実施した場合に運営費の一部を補助する制度を実施します。
教育では、朝霞第八小学校の自校給食施設の整備工事および普通教室等増築工事のための設計を開始し、良好な教育環境の確保に取り組みます。また、学習指導要領の改訂までの移行期間に、先行して外国語活動を実施するため、小学校に配置する英語指導助手を1人増員し、国際理解教育の充実を図ってまいります。
次に、3点目の「つながりのある元気なまち」を目指して取り組む施策としましては、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、引き続き機運醸成を図ってまいります。
福祉では、市内でグループホームを運営する社会福祉法人に対し、障害のある方が緊急時に短期入所できるよう、その受け入れを委託し、地域生活支援拠点とすることで、地域全体で障害のある方の生活を支える体制づくりを進めてまいります。障害のある方の体力増強やスポーツの普及を目的として、多くの方が参加でき、交流が図られるスポーツ・レクリエーション事業を実施し、ノーマライゼーションの推進に努めてまいります。
都市基盤では、旧朝霞第四小学校跡地の有効活用を円滑に進めるため、校舎等の解体工事および必要な道路整備にかかる設計を行い、企業誘致を促進します。
次に、4点目の「自然・環境に恵まれたまち」を目指して取り組む施策としましては、環境では、雨水貯留槽の設置補助のほか、これまで住宅用太陽光発電システムを対象としていた補助制度の対象を家庭用燃料電池および蓄電池についても拡大し、再生可能エネルギーの普及推進を図ってまいります。
都市基盤では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の会場となる陸上自衛隊朝霞訓練場へのアクセスルートとなっている都市計画道路観音通線の整備を引き続き推進するほか、公園通り沿いに計画しているシンボルロードの第1期整備工事を開始し、市内に残る基地跡地を市民が利用できるようにするとともに、本市の新しい緑豊かなにぎわいの拠点づくりを推進します。このほか、平成30年度に換地処分を目指す根岸台五丁目土地区画整理事業などに対して支援を行い、良好な市街地の形成を目指します。
そのほか、税収確保策として、納税者の利便性向上と収納率の向上を図るため、クレジット収納サービスを平成31年度に導入することを目指して準備を進めてまいります。
このような基本的な考え方に基づきまして、前年度当初予算に対し、3.4パーセント増の408億1000万円で、平成30年度一般会計予算を編成いたしました。
主要な事業
【新規事業】
●総合防災訓練
●保育士の処遇改善補助金
●幼稚園預かり保育補助
●障害者スポーツ・レクリエーションの集い
●障害児(者)緊急時短期入所事業
●救命救急医療寄附講座支援
●第八小学校自校給食施設等整備
●教職員出退勤システム導入
●博物館非構造部材安全対策工事
●宮戸二丁目土地区画整理事業の推進
【内容を拡充した事業】
●雨量計設置
●民設の認可保育園の整備補助金
●放課後児童クラブ整備事業補助金
●放課後児童クラブ運営事業補助金
●早期不妊検査・不育症検査助成費補助金
●日本語指導支援員配置
●小学校外国語教育充実
●創エネ・省エネ設備設置費補助金
●止水板設置費補助金
●北朝霞どんぶり王選手権
●オリンピック・パラリンピック事業
【計画策定】
●一般廃棄物処理基本計画の見直し
●雨水管理総合計画の策定
【建設・修繕等】
●児童館建設工事
●小学校体育館空調設備整備事業
●総合体育館施設改修事業
●シンボルロード整備工事
●観音通線整備事業
●朝霞駅ホームドア設置の推進
●仲町中継ポンプ場耐震補強工事
●旧第四小学校解体工事