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妊婦さんとその家族の方へ「妊娠中注意すべき主な感染症」
妊婦さんとその家族の方へ「妊娠中注意すべき主な感染症」
何らかの微生物(細菌、ウイルスなど)がお母さんから赤ちゃんに感染することを「母子感染」と言います。
母子感染には、赤ちゃんがおなかの中で感染する「胎内感染」、分娩時に産道を通る時に感染する「産道感染」、「母乳感染」の3種類があります。
母子感染する感染症には、赤ちゃんに大きな影響を与えるものもあります。妊婦さんはもちろんのこと、まわりの人も感染症の予防を心がけましょう!
赤ちゃんに影響をあたえる可能性のある主な感染症
(1)風しん
(2)サイトメガロウイルス ※妊婦健康診査では検査費用の助成がないめ、検査を希望する場合は自己負担となります。
(3)トキソプラズマ ※妊婦健康診査では検査費用の助成がないため、検査を希望する場合は自己負担となります。
(4)リステリア(食中毒)
(5)その他・・・HTLV-1、B型肝炎、C型肝炎、B群溶血省連鎖球菌(GBS)、性器クラミジア、梅毒、HIV感染症 等
(1)風しん
妊娠初期に初めて感染した場合、赤ちゃんが聴力障害、視力障害、先天性心疾患などを生じる恐れがあります(先天性風しん症候群)。
感染経路
風しんにかかった方の咳やくしゃみの飛沫から感染します(飛沫感染)。
予防
風しん流行時は人ごみを避け、マスク、手洗いなどで予防しましょう。妊娠を希望している方、もしくは妊婦さんの家族で抗体価の低い方は予防接種を検討しましょう。
※令和2年4月1日から令和3年3月31日まで、埼玉県で風しん抗体検査(無料)を実施しています。詳細は、埼玉県ホームページ「風しん抗体検査が無料で受けられます」をご覧ください。
(2)サイトメガロウイルス
日常のありふれたウイルスで、成人の7割くらいの方は子どもの頃に感染しており、健康な人は感染しても多くは病気を起こすことはありません。妊娠中に初めて感染すると、聴力障害、脳の障害、肝臓障害などを生じる恐れがあります(先天性サイトメガロウイルス感染症)。
感染経路
ウイルスは、子どもの唾液や尿に多く存在し、それに触れた手で目・鼻・口等を触ることによって感染します(接触感染)。
予防
■ こまめによく手洗いしましょう(特に、おむつ交換、子どもの食事、子どもの鼻水やよだれを拭いた後など、子どもとかかわった時)。
■ 子どもとキスするときは、唇は避けましょう。
■ 食器は子どもと別にし、子どもの食べ残しを食べるのは避けましょう。
■ こどものよだれや尿がついた家具やおもちゃは、きれいにしましょう。
■ 妊娠中の性行為はコンドームを使いましょう。
(3)トキソプラズマ
動物に多く見られる原虫で、成人の2~3割の方は感染しているといわれており、健康な人は感染して多くは病気を起こすことはありません。妊娠中に初めて感染した場合、赤ちゃんに視力障害、脳の障害などを生じる恐れがあります(先天性トキソプラズマ症)。
感染経路
感染している動物の肉を食べたり、感染したばかりの猫の糞や糞に汚染された土の中を触れた手で口・目等を触ることによって感染します(接触感染、経口感染)。
予防
■ 肉類は中心部まで十分に加熱してから食べましょう。
■ 肉を調理した調理器具は清潔にしましょう。
■ 殺菌されていないミルク、それから作られた乳製品は避けましょう(特にブリーチーズ等)
■ すべての野菜や果物は皮をしっかり洗いましょう。
■ 猫の排泄物の処理や、庭・畑仕事をする時は、手袋、マスクをつけ、作業後は十分に手を洗いましょう。
(4)リステリア(食中毒)
食中毒のひとつで、健康な人は感染しても多くは病気を起こすことはありません。妊娠中は健康な人の20倍リステリア菌に感染しやすいといわれており、感染した場合、流産・早産・死産や、赤ちゃんに髄膜炎や敗血症などの命に関わる病気を引き起こすことがあります(リステリア症)。
感染経路
冷蔵庫に長期間保存され、加熱せずにそのまま食べられる食品は、食中毒の原因となる可能性があります(経口感染)。
<リステリア食中毒の主な原因食品例>
ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモンなど
※プロセスチーズや、加熱殺菌されている乳製品は、リステリアの危険性は低くなります。
予防
■ 食品は期限内に食べきるようにし、開封後は期限に関わらず早くに食べましょう。
■ 冷蔵庫を過信せず、食べる前に十分加熱しましょう。
(リステリア菌は冷蔵庫内でもゆっくりと増殖しますが、過熱することで予防できます)
■ 生野菜や果物などは食べる前によく洗いましょう。
厚生労働省リーフレット『「リステリア」による食中毒に注意してください。』 [PDFファイル/456KB]
(5)その他
HTLV-1
赤ちゃんに感染しても多くは無症状です。一部の人は、40年以上経過した後に、成人T細胞白血病(ATL)や、HTLV-1関連脊髄症(HAM)という病域になることがあります。母乳感染。
B型肝炎
赤ちゃんに感染しても多くは無症状ですが、まれに乳児期に重い肝炎を起こすことがあります。将来、肝炎や肝硬変、肝がんになることがあります。胎内感染、母乳感染。
C型肝炎
赤ちゃんに感染しても多くは無症状ですが、将来、肝炎、肝硬変、肝がんになることがあります。胎内感染、母乳感染。
B群溶血省連鎖球菌(GBS)
赤ちゃんに肺炎、髄膜炎、敗血症などの重症感染症を起こすことがあります。産道感染。
性器クラミジア
赤ちゃんに結膜炎や肺炎を起こすことがあります。産道感染。
梅毒
赤ちゃんの神経や骨などに異常をきたす先天梅毒を起こすことがあります。胎内感染。
HIV感染症
赤ちゃんに感染して、進行するとエイズ(後天性免疫不全症候群)を発症します。産道感染。
【関連ホームページ】
埼玉県ホームページ「「妊婦さん!気をつけて」妊娠中に気をつけたい感染症」
埼玉県 結婚・妊娠・出産・子育て 応援公式サイト「母子感染を知っていますか?」
厚生労働省ホームページ「食中毒に関する情報:妊産婦の方への情報提供について」